目を伏せる男性

夫婦婚姻関係の破たん

探偵に証拠を確保されてしまった人は、あの手この手で悪あがきします。

「知らない。何かの間違いだ」ととぼけたり、

「違う。これにはワケが……」とヘタな言い訳をしたり、

「離婚して、おまえ一人で食っていけるのか!?」と、脅すような暴言を吐いたり……。

 

そのほか「浮気 ごまかす方法」「不倫 証拠 消す」「慰謝料 請求 逃げる」

……で検索して、逃げ道を探すかもしれません。

 

あるいは、自分のまわりの経験者 (探偵に痛い目にあわされた経験者。あるいは浮気の常習犯) に泣きつき、アドバイスを求めるかもしれません。

そういうひとたちがとる、最後の手段。

それが「婚姻関係の破たん」です。

 

焦りだす当事者の悪あがき

不倫した配偶者およびその相手に、慰謝料請求することは、法律で認められています。

不倫という言葉は法律用語にはないので、「不法行為」という定義になります。

民法上の不法行為で請求できるのは、金銭のみ。

その他の方法……「モノ」「権利」「相手に対する行為の要求」で支払わせることはできません。

 

浮気は、やるひとは、けっこう軽く考えがちです。

だから、探偵に証拠を押さえられ、浮気相手の居所を特定され、慰謝料請求されてから、初めて必死になる人が多いです。

手遅れになって動き出すという意味では、なりふりなんてかまいません。

プライドなんか捨てて、他人からのアドバイスや、ネット情報を、ワラにもすがるよう求めます。

 

【夫婦関係の破綻】

私の経験上、そういう人がもっとも持ち出す手段が、「夫婦関係の破たん」の主張。

民法において、不貞行為は「行為(浮気)をした時点で、夫婦関係が完全に壊れていれば、請求できない」と明言されているからです。

つまり、事実上の離婚をしていたら、他の異性とセックスしても浮気じゃない、というわけです。

これは、いかにも浮気がバレたパートナーが持ち出しそうな主張です。

しかし、もちろんそう簡単にはいきません。

 

第一の問題点【別居】

まず、【夫婦関係の破たん】は、慰謝料を請求された側、つまり「浮気をした相手」が立証しなくてはなりません。

そして、夫婦関係の破たんというのは、立証が難しいのが現実です。

どういう状態が夫婦関係の破たんになるのか。

具体的に言うと、「長期間の別居」です。

 

夫婦喧嘩してちょっと実家に帰ったり、友人の家に泊まらせてもらった程度では、「夫婦関係が破たんしている別居状態」とはなりません。

とくに女性の場合、「DVを避ける目的で一時的に家を出る」ことが考えられるからです。

 

たとえ、浮気した当事者が、一生けんめい「夫婦関係はもう終わっていた!」と言い張っても、

依頼人サイドが「自分はがんばって夫婦関係を続けていた」と主張すれば、一方的に逃げられることはないと言っていいでしょう。

第二の問題点【セックスレス】

第二に、「セックスレス」

よくある話ですが、夫婦関係の破たんの根拠として、非常にデリケートな問題です。

かりに、「一定期間セックスをしなかった夫婦」が破たんしたと言えるのなら、子供の居る家庭の多くが、事実上離婚している状態になってしまいます。

それはさすがに無理があるでしょう。

 

ただでさえ、日本人の性生活の頻度は少なめと言われています。

「妻が抱かせてくれなかったから、他の女とヤッたんだ! 夫婦関係は破たんしている!」

……という主張は、認められるどころか、DVとみられかねません。

 

注意しなくてはいけないのは、依頼人サイド、つまり浮気された被害者である妻(および夫)に、浮気相手が居る場合です。

「相手に裏切られたショックから」

「寂しかった」

「性欲を持て余して」

「優しくしてくれた相手に求められたから」

 

……理由はどうあれ、自分も浮気していたとしたら、これはもう『夫婦の破たん』とされても仕方ありません。

もちろん、相手がその証拠を押さえていたら、の話にはなりますが。

 

まとめ

すでに証拠を押さえられてしまった浮気男・不倫女が、最後にすがるのが「夫婦関係の破たん」です。

これを相手が主張してきたとしても、立証責任は相手にありますから、慌てることはありません。

依頼人さまはただキゼンとした態度で「それはありません」と、言い返せばいいだけです。

 

ただし、もしもご本人に、誰か親密に交際している相手が居るとしたら……

相手の言い分が通り、せっかくの不貞証拠もムダになる可能性があります。

新しいパートナーとの関係は、ちゃんと身のまわりが清算されるまで、絶対に控えるべきでしょう。

 

キッチン女性